石窟芸術 01 莫高窟 第45窟
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【第45窟】
盛唐(705-781)
伏斗式天井。方形窟。
半円の龕に七尊像が配されていています(左から天王、脇侍菩薩、阿難、釈迦如来、迦葉、脇侍菩薩、天王。)阿難と迦葉は釈迦十大弟子の一人です。
これらは退色も少なく、腕や指先に補修の跡が見られる以外はほぼ完全な状態で保存されています。
下の壁画は諸難救済の場面を描いています。山道で盗賊に襲われる商人(ソグド商人)や、大海で羅刹(らせつ=悪鬼)に襲われる船など、諸難にあっても観音菩薩の名を唱えれば救われるという観音信仰をテーマにしています。
「この観音さまを信仰する限り、シルクロードの旅でさえ、陸路、空路を問わず、あらゆる厄災から免れて安全だというわけである。
私もまたは観音さまの前に立つ。天蓋の下にすっくりと立たれた観音さまは、薄く鼻下に髭を蓄えて多少少数民族的な顔をしていらっしゃる。服装もまた少数民族的である。いずれにせよ、このような善人、悪人の別なく、何でも諾き届けて下さる観音さまに護って頂かない限りは、ここから西方に拡がっているタクラマカン沙漠の中へ足を踏み入れることはできないに違いないのである。」(井上靖『私の西域紀行』より)